TGCVとは
中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride Deposit cardimyovasculopathy ,TGCV)は、2008年にわが国の心臓移植例から見い出だされた新しい疾患の概念で心筋細胞および血管平滑筋細胞に中性脂肪が蓄積する結果、重症心不全、心筋症、狭心症などを来す難病です。
どんな特徴?
どんな特徴? TGCVの病態は、細胞内の脂質代謝異常で細胞の中に中性脂肪(TG)が貯まります。通常の血液検査で中性脂肪の値が高くなる病気は、脂質異常症や高TG血症がありますが、TGCVでは、細胞内の中性脂肪の蓄積量と血液中の中性脂肪の値は、必ずしも相関はしていません。また、生理的に脂肪を貯める脂肪組織とも関連がなく、体重やBMI(肥満指数)とも関係はありませんが、研究によって糖尿病の合併が多いことがわかっています。例えていうと心臓が脂肪細胞のようになって心筋や冠状動脈の血管平滑筋細胞に中性脂肪を蓄えてしまう、いわば心臓の肥満症ともいわれます。
TGCVの症状は?
生来健康で主として成人以降、壮年期に心臓の症状などが出現すると考えられています。症状では、狭心症など虚血性心疾患の胸部症状のほかに息苦しさ、息切れ、むくみなどの心不全症状、疲れやすいなどのエネルギー不全症状、糖尿病からくる四肢末端の冷感やしびれなどこれらの様々かつ複雑に絡んだ症状を訴えています。現在、TGCV患者の症状の発生頻度と日常生活動作の程度を把握するためのTGCV重症度スコアが開発されています。
TGCVの新しい治療法の開発
現在、治療薬の開発として細胞内に蓄積した中性脂肪を減少させると共にエネルギー不全を改善させるトリカプリンを高純度精製、カプセル化し、医師主導治験の臨床研究が行われています。この難病を一日も早く克服するため、TGCV研究班ではTGCV診断法の確立と治療法の確立に向けて、日々研究が実施されています。